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空を見ていた建物 (広島市江波山気象館)

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広島市内の見るべき建物の一つに「江波山気象館」があるというので行ってみました。
気象館は広島市の南、瀬戸内海を背に広島市内を見渡せる江波山の頂上にあります。

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江波山は山といっても標高40m弱の丘のくらいの高さで、埋め立てが進む前は海に浮かぶ島でした。良く魚が集まる魚の餌場(えさば)=>「えば」というのがその名の由来だそうです。春は桜見の名所だと聞いていましたが、非常に眺めが良く、居心地の良い場所です。当日も天気が良かったせいか中途半端なレジャーを楽しむ人がBBQをしていました。



気象館は1934年に気象台として開館し、1987年に気象館/博物館として再オープンして今日に至ります。気象台としての機能を満たす為にRC構造の堅牢な建物ですが、内外装共にやわらかく、品の良い造りになっています。

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その前に、日曜とはいえ気象の博物館なんぞに来るやつは誰もいないだろうと思ってたら甘かった。駐車場から満杯状態。どういうこと?気象マニアの集会なら逆に潜入してみたいが。。

建物は大別すると大きな見どころが3つあると思います。

まず1つめは入口で、最初から博物館を狙っていたかの如くウェルカム感があります。

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煉瓦=>コンクリに移る事で可能になった表現手法を取り入れた初期モダニズム建築ですが、ドア上のステンドグラスや、周りの左右対称の幾何学装飾にアールデコの要素も確認できます。

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入口で入館料大人100円払ってそのまま奥に進み、左手にある上階に続く階段が2つ目のハイライトです。

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床には褐色系のタイルが丁寧に敷かれていますが、石を模した磨きの手すりも豊かな表情を見せます。

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踊り場の縦長の窓、球体のランプは優しく、ここに住めるわと思える落ち着いた空間です。

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天井を良く見ると構造上は必要のない持ち送りがあり、日本建築の「斗栱」のようにも見えます。

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廊下の照明や、トイレも博物館化に合わせて若干モディアファイされていると思いますが、非常にスタイリッシュです。


見どころの3つめは屋上にあります。

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建物の最も高い観測台の部分ですが、パラボラ・アーチを縮小したような装飾が壁面に施されています。

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手すりの部分がマイアミ・アールデコの「ストリームライン」のようにも見えます。このような曲線部分もあって研究機関の建物とは思えない、優美で、全体としての温かさを感じる造りです。

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Wikiには「ドイツ表現主義の影響…」と書かれていますが、日本の分離派建築会(特に逓信建築)の特徴があちこちに見えるのでそちらの流れとした方が理解しやすいと思います。

当時としては装飾控えめだったと思いますが、今の基準ではコンテンツ豊富な部類です。出しゃばらないけどスタイルはあり、公的な研究機関としての重厚感はありながら清潔感もあるという絶妙なバランスを有しています。

けっこう写真撮る所ありますので被写体を求めている方にはお勧めです。ただ、駐車場満杯の理由はこれだったのですが、日中は子供向けの実験イベントが開催されていて、子供たち走り回ってくそうるさい元気です。じっくり撮影する場合は朝か夕方のイベントの時間を外すとゆっくり撮れると思います。

☆☆☆

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この観測所はこの地に建ってからずっと広島の空を見続けてきたわけです。そう、あの日も。

江波山気象館は被爆建物としても貴重な存在で、当時のものがそのまま保存されています。

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建物は丈夫に作られていましたが、爆心地から3.7km、遮るものはありません。鉄製の窓の枠は爆風で曲げられたままになっています。

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資料室には当時の職員の方の手書きのメモが展示されていているのですが、空の様子を観測員という違った視点で記録されており、他の資料館では見られないここ独自の展示で別の見どころだと思います。

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その後、まだ観測設備が復旧しないところにに枕崎台風が直撃します。この時の職員の苦悩を描いたのが、柳田邦男の「空白の天気図」ということでした。


今回は、建物に釣られて来てみたら別の事に興味を魅かれて感銘を受けるというパターンでした。

家から自転車で行けるくらいのこんな近くに、こんな素敵な建物があったとは嬉しい発見です。また自転車+カメラで市内をうろついて探してみたいと思います。
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